建物コレクション 集合住宅A〜C

最近はあまり見ることができなくなった、懐かしの昭和な集合住宅である。
そういう書き方をすると、いかに自分が歳を取ったかよくわかるが、高度成長期の生まれとしては、あたりまえに見たものばかりだ。
それでも丹念に探せば、地方などでまだ見られそうだし、都市部にも改装を重ねながらひっそりと残っていたりもする。
左がAで、テラスハウスという。
外壁がコンクリートブロック製の2階建てで、メゾネットなどとしゃれた呼び名があった。
公営住宅に多かったが、都市部では陸屋根で横にもっと繋がっていたものが主流だったように思われる。
しかも、張出部分を持つような複雑な構造ではなく、単に細長い四角があたりまえだった。
あらためて確認しようにも、知っているところは全て取り壊されて高層化が終わっている。
むしろこれは、田舎の町に見られるものなのかもしれない。
やはり自治体が経営しているのか、町はずれなどに数棟が並んでいるのを見かけたりする。
全面塗装と一部改造をしてあるが、元のものは張出部分が片方に寄っていた。
それだと片方が広くてもう片方が狭くなるので、中央に移して2部屋とも同じ間取りの反転にした。
庭付きの土台もあったのだが、張出部分を移設したので廃棄した。
レイアウトに組み込むときには、ちょっとした庭を作って、庭先が道路なら勝手に駐車場を作ってしまったという設定もできそうだ。
これは数がほしいので4棟買った。
中央がBで、モルタルアパートという。
典型的な木造モルタル2階建てで、玄関で靴を脱いで上がる方式だろう。
この形の民間アパートでは、比較的大きな部類ではないだろうか。
1階奥が大家の住居で、残りが貸部屋ということも考えられる。
松本零士の「おいどん」の世界かと思っていたが、四畳半で共同炊事場/便所・風呂なしとは違うようだ。
むしろ世帯向けで、簡単な台所と便所は室内にあるかもしれないが、風呂はなさそうな気もする。
都市部ではだいぶ少なくなったが、東京23区内では外壁を換えられていても、設計思想の古さからそれとわかるものが存在する。
窓の感じからは間取りがわかりにくいが、理由は廊下とか階段がどこにあるのかはっきりしないからであろう。
改造はしていないが、全面塗装はしてある。
右がCで、木造長屋という。
メーカーは炭住(炭鉱労働者の住居)などを考えて模型化したというが、どこにでも使うことができそうだ。
『空の大怪獣ラドン』(1956年・東宝)の前半に登場した炭鉱街の建物群もこのような感じだったので、企画意図は達成されている。
いわゆる2間の長屋ということになると思うが、4室も並べるとかなりの面積になる。
Aのような公営住宅が建てられる前は、これが標準的な公営住宅だったようである。
都営住宅というと、かつては狭いながらも戸建てをよく見かけたが、(大阪)府営住宅は長いことこの形が残っていたそうだ。
都内ではさすがに見かけなくなったが、近県では見ることがあるものの、だいたい木造モルタルという1世代あとのものばかりである。
これも無改造で全面塗装で仕上げてある。
1棟だけでは寂しいので2棟買ったが、街コレと違ってオープンパッケージなので気兼ねなく買える。
最近は元街コレもオープンパッケージで建コレに編入されているが、1箱で2種類入りにされているものが多い。