建物コレクション 病院B
Bは鉄筋造ということで、より近代的な病院を作ることができる。
もっとも、そのままではあまりよい形ではなかったので、原形を留めないような大改造をすることにした。
唯一原形を留めているのが、写真上の右端である。
玄関とその上の窓配置が原形で、それが2個と玄関がないものが1個入っており、自由に配置が可能ということだった。
上下の分割もできるので、合計9個のブロックを好きなように並べ重ねて、気に入った形を作ることも可能になっている。
ただし、1階の部品は2〜3階の部品よりも天地が高くなっているので、上階に使う場合は下部を詰める必要がある。
足しても引いてもよいので、2棟に分けるのもよいし拡張したければ複数買えとの展開である。
そう言われると俄然ひとつ買っただけで拡張したくなるのが人情で、バラバラにした上でプラ板などを用いて好きな形に組み替えてみた。
正面はとにかく連窓を全て使い、横にだいぶ広くすることができた。
右端の正方形窓は、横に非常階段もあることだし、ここのところだけはそのままにしてある。
右端の扉は普通の玄関で、左端の扉は、救急搬入口のつもりだが、車寄せとかあった方がよいのだろうか。
設定が最も新しくて1972年なので、その頃そういう配慮があったかどうか定かではない。
2階以上の窓にはベランダが付いているようだが、これはそのまま使うとブロックひとつの幅しかないので、両端以外は仕切を切って端から端まで通した。
こういうところで横着をすると、いきなり実感がなくなってしまうので、手間をかけるだけの価値はある。
裏側の部品も使って長さは確保できたが、表用と裏用では部品の形状がいくらか違ったが、正面の部分だけは同じなので流用は可能だ。
ベランダと書いたが、窓自体が1階と同じ高さなので外へ出ることもできず、植木鉢などを置くくらいがせいぜいのところだろうか。
こういった構造はかつての鉄筋コンクリート造りの建物でよく見られたが、最近はなくなったようである。
非常階段はなかなかよい出来で、元も3階建てなのでそのまま使うことができた。
反対側の妻面は、プラ板に正面のモールドと同じ位置に筋を入れて作ってある。
完全な裏面になるところは、どうせ正面を向けてしか置けないのでプラ板で塞いで塗装だけはしておいた。
見えそうな横の部分は、正方形の窓を集めて並べることにした。
2階の窓の上下に段が付いているが、これは本来の裏側に使う部品だったので、長さを調整して利用した。
角の部分は5mmのプラ角棒を立てて煙突というか排気塔のようにしたが、たしか角をうまく接合できなかったからのような記憶があった。
屋根は本来のものが使えなかったというか、とてもたりなかったのでプラ板を貼り、塔屋は製品のものをそのまま使ってある。
あとは周囲にプラ角棒を接着して、屋上らしく作ってみた。
病院の屋上と言えば、今はどうか知らないが物干場という印象が強かったので、プラ角棒と真鍮線で物干台を作った。
周囲に張り巡らせてあるフェンスは、買った覚えもないのにうちにたくさんある津川洋行の印刷シート製である。
まずまずの出来だが、やはり光を当てると反射してしまうのはしかたがないことだろう。
どうしてもという場合は、出費を覚悟して金属メッシュの製品に替えるしかあるまい。
プラ製の柵でもよかったかもしれないが、病院だけにだいぶ高いものにしないとならないような気がして、金網を選択した。
これも分厚い土台が付いていたので廃棄して、玄関だけは薄いプラ板を2枚重ねで作った。
そういないと敷居がやたら高くなって健常者でも出入りに難儀する構造になってしまう。
このあたりも現実に即した構造を考えて作らなければなるまい。
ところでこのキットだが、実にとんでもない問題点があった。
それは、プラモデル用の接着剤を全く受け付けないことである。
いつものようにバラしてタミヤセメントで貼り付けていったのだが、持ったとたんに全て剥がれてしまった。
前例としてはトミックスの比較的新しいストラクチャーがあり、こちらは完成品ということで我慢して瞬間接着剤を使って改造した。
しかしこちらはキットなので、そうも言っていられない。
どうやら接合はゴム系接着剤を使えということらしいが、半完成キットを並べるだけならそれでもよいかもしれない。
ところがここまで改造するにはそれもできず、新たな接着剤を探さなければならなくなった。
候補は「アクリサンデー」専用接着剤と、塩ビ水道管用接着剤と、「イレクター」専用接着剤に絞った。
「アクリサンデー」用はとても高価で、塩ビ水道管用は量が多すぎるということで、矢崎化工の「イレクター」用に決定した。
「イレクター」というのは、鉄パイプにプラスチックを巻いた材料で、接合はプラスチックのジョイント部品を接着する工作素材だ。
このプラスチックは普通のプラモデル用接着剤では接着できないが、専用の「サンアロー」接着剤を用いれば充分な強度を保てる。
イレクターのプラスチックを溶かせるならなんとかなるだろうと思い、無色透明で水のようなこの接着剤を買ってきて使ってみた。
とりあえずこれでほぼ解決したが、もう二度とこの材質でNゲージのストラクチャーを出してほしくない。