住宅
実のところ、完成品のストラクチャーはトミックスしかない時代が長かった。
グリーンマックスが本格的に参入してきてもキットのみで、輸入品でも完成品はほとんど見られなかった。
そのようなわけで出せば何でも売れたし、値段も手頃だったこともあり歓迎されたようである。
もっとも、駅舎はときどき多少改造されたものがあったが、全く同じものがたくさん並ぶレイアウトもよく見かけた。
左がわらぶき農家で、たぶん木造駅舎のあとに出てきたものだと思われる。
ローカル線の風景から始めたかったのか知らないが、あまり線路の真横で見られる建物でもないと思った。
早い時期に出たものにしては成型もよく、一体成型の限界を示すほどの出来だった。
茶系の成型プラスチックの地肌を残して、必要最低限の塗装がなされていた。
漆喰壁のひびや割れなど、なかなか凝った表現までしてある。
屋根はネジ留めなので、室内の中央に太い円筒形の柱があるのが、障子の開口部から見える。
地面も附属しており、かなり細かい手押しポンプの付いた井戸もあり、そこだけ保存してある。
とりあえず白いところは残して塗装したが、遥か昔の作業だったので、一部は塗り直すことにしている。
屋根はプラスチックの成型品なので、気が向いたら実際に葺いてみるかもしれない。
中央が近郊住宅で、少し都会寄りになってきた。
いかにもという感じの建物で、ターミナル駅から急行で30分も進めば、よく見られた家であろう。
実際に、町田市鶴川で1970年代初期に借りた家がこのような雰囲気だった。
塗装されているのは窓回りくらいだったので、あとから細かい色入れをしてある。
当時はまだ窓桟は塗装されておらず、色入れする必要があった。
塀に囲まれた駐車場付の広い庭も付いていたが、家だけ外してあとは別に保管してある。
もしかすると、あとでまた一緒にするかもしれない。
右がアパートで、これはずいぶんあとになってからの製品である。
初期の製品も出来がよいのであまり差は感じられないが、窓枠が銀塗装になっているあたりは時代の差だろうか。
よくある学生や単身者向けの1Kではなく、所帯向けの2DKのアパートである。
そのため扉の数が少ないので、階段は妻面ではなく側面からまっすぐ上がるように付けられている。
本体は一体成型で、階段とベランダが別部品という構成になっている。
塗装されているのは屋根だけで、あとは成型色だが、柵に貼るシールが入っていたような記憶がある。
元の色がよいので、塗装は細かい色入れに留めておいた。
掃き出し窓が一枚ガラスなので、もしかするとあとで桟を描きたすかもしれない。
トミックスの住宅は、この3軒だけで後発の話は聞こえてこない。