扇形機関庫
元々、線路の種類が一番豊富だったのは固定式で、関水金属扱いの輸入品が揃っていた。
今では同社も固定式線路はフレキシブルレールくらいで、ユニトラックもポイントの種類ではトミックスよりも少ないかもしれない。
そしてトミックスにいたっては、国産の電動ターンテーブルまで発売した。
プラレールで出したくらいだからNゲージでもやるだろうと、冗談のように言っていたものだったが、本当に出てきたのには驚いた。
このターンテーブル=転車台はというと、下路式という構造のものを模型化したものだ。
線路の両脇に桁が立っているので、ピットを浅くできるのが利点であろう。
ほかには上路式というものがあり、線路の下に桁があるので、かなり深いピットを要する。
上路式でも浅いピットで済む3点支持の転車台もあるが、1950年代に登場したこともあり、あまり見かけることはない。
それから四半世紀も経たずに蒸気機関車自体がなくなってしまうので、ごく少数に過ぎないのだろう。
トミックスが穴の浅い下路式を出したのは、第一にお座敷運転に組み込むことができるようにということだと思われる。
固定式線路の倍の高さくらいに薄く収めてあるために、床の上に敷いても違和感なく組み込める。
あとは比較的頑丈な作りにできるのと、駆動用のモーターの収まりがよいということかもしれない。
形もほどよく日本型にまとめてあり、新しい蒸気機関車やディーゼル機関車にはよく似合う。
上路式は関水金属が外国製を売っていたが、とても日本の機関車に似合う形ではなかった。
その転車台に対応する建造物として、3線式の扇形機関庫も発売された。
輸入品がだいたい煉瓦造りなのに対して、日本の風景によく似合う鉄筋コンクリート造りを選択した。
これなら戦後の大型蒸気機関車が入るのにふさわしいことだろう。
3線式だが繋げることは可能で、9線から12線くらいに増やせば、かなり堂々とした機関庫にすることができる。
これは3個繋げて9線にしたものだが、大がかりな改造もしてある。
転車台自体がお座敷運転を前提に作られているので、機関庫もそれに倣っている。
そこで少し気になったのは、レイアウトに組み込むと、庫の下の方が地面に埋まるということだ。
普通に考えると枕木の上面が地表になるので、それより下は地中ということになる。
つまり土台の部分だけでなく、建物の下部も地面の中ということである。
そのあたりで下部にムダないじりを入れたのだが、やらなくてもよい加工までしたような気がする。
庫を繋げただけだと、側壁がそのままになるので、接合面の壁面は切り出して、5mmのプラ角棒で柱を表現した。
機関車が入ると閉まるような仕組みの扉は、装置ごと丸々撤去して開放仕様にした。
左の3線は大きな整備ができる場所として、屋根を持ち上げたり張出部分を作ったりした。
これは余った側壁とプラ板で加工し、窓の一部はいさみやロコワークスのNゲージ用窓枠を使った。
横の大きな扉は、撤去した庫の扉を流用した。
大改造をしたので全面塗装したが、途中で塗料がなくなってしまい、同じ色を買いたしたところなぜか色が違っていた。
ちょうどMr.カラーのビンカラーが価格と形状を変えるときだったので、あるいはその影響だろうか。
線路は規格品だが、重整備ができる3線は奥行きがあるので、長い線路を現物合わせで切って取り付けた。
庫内の線路上面を床面と合わせる加工をしたために、線路が出し入れできなくなってしまい、レールブロックまでを一体化した。
ところでこの転車台は隣の線路との間隔が15度に設定されている。
実際には9度くらいなので、だいぶ大雑把に作られているが、安価に供給できる限度なのだろうか。
従って、輸入の扇型機関庫は対応できず、流用するとなれば大改造が必要となる。
そのかわり、曲線路を1本たせば、同社の複線機関庫にも対応できるようにされている。
ちなみにその複線機関庫は、跨線橋の材料になってしまい単体としては消滅した。
うちでは最大級のストラクチャーで、こんなものをレイアウトに組み込んだらとんでもない場所を取る。
とはいえ、実物ではかなり小さい部類に属すると思われるので、実際の鉄道施設というのは雄大な風景なのである。