信号所

輸入キットの信号所で、日本の風景に合うものはほとんど存在しない。
古いのも新しいのも、どちらかというと派手というか装飾過多で、日本的なわびさびには向いていないと言うべきだろうか。
近年の信号所にわびもさびもあったものではないが、そのつまらなさもまた洗練された欧州型とはかけ離れている。
欧米人は、古い信号所を家屋と同等に、新しいものをビルと同等に考えているのかもしれない。
それより広く考えて、車輌や風景と同化しているわけで、それはどこの国も同じだと思いたい。
そのようなわけで、信号所の輸入キットを買っても、信号所にはそうそう使えない。
よほどのものではない限りそれでも買ってしまうが、使い道はあとから考えることにしている。
左のものは、欧州の人の手にかかると信号所もこうなるのかと思わされる、比較的新しいものである。
日本型でどうしても使おうというのなら、貨物操車場くらいならあるいは似合うのかもしれない。
それよりもこれだとむしろ、港に置いた方が似合いそうな気がする。
横浜の港の見える丘公園に東洋信号通信社の建物があるが、屋上に鉄塔でも建ててそのような感じで使うとよさそうだ。
鉄道模型のレイアウトといっても、鉄道が中心の風景なのであり、作り方によってはそれ以外のものの方が多くなったりもする。
右のは古典的な信号所だが、木造モルタルでも日本人がこういう信号所を作ることはあるまい。
あちらでは昔は鉄道施設というと、それこそ家屋の延長なのかと思いたくなる。
明治時代は日本でもこのようなものがあったのかもしれないが、車輌の国産化が進んでくると見られなくなったのだろう。
やはり総合的に各国の形というものが、風土の中で形成されてゆくと言えよう。
小私鉄でぎりぎり使えるかどうか、あとは路面電車の車庫脇に置くとかどうか。
鉄道以外の用途でも何か使えそうなので、おいおい考えることにしよう。
両方とも、無改造の全面塗装で仕上げてある。